経済学部にはフィールドワーク補助事業があります.この制度は卒業論文,ゼミ論等で調査が必要な学生に対し,ゼミに旅費の補助を行う制度です.
今年度は,平澤ゼミナールと3人の学生がこの制度を利用しました.置戸町の調査についてはすでにこの場で報告されていますので,3人の学生の調査のうち2人の調査
「陸別町における公共交通の変化と生活行動空間の変容」
高谷 慶 君
「小樽市の歴史的建造物の現状」
泉澤 陸 君
について簡単な報告をします.
陸別町における公共交通の変化と生活行動空間の変容
高谷 慶
澳门皇冠体育_皇冠体育投注-【在线*官网】経済学科では,フィールドワーク補助事業が行われています.これは卒業論文やゼミ論文などを作成する際の交通費と宿泊費の半額を補助していただける事業です.私は今回この事業を利用し,現在作成している卒業論文のために北海道陸別町で2回の調査を行いました.
高齢化が進行する日本にでは,近年公共交通のあり方が見直されてきています.これは特に農山村地域において自家用車の運転ができない若年層や高齢者などの「交通弱者」とされる人々に対して,どのように交通サービスを供給するかという問題からきています.一方で全国では近年公共交通が不採算や利用者の減少により廃止?縮小となった事例が数多くあります.対象となった地域では,それまでの「生活の足」を失った交通弱者はどのように生活を送るのかといった問題が残ります.私は卒業論文を作成するに当たり,公共交通の変化が地域住民の生活にどのような影響を与えるのかということに興味を持ち,陸別町を対象地域として調査することにしました.陸別町では1910年に網走線が開通して以来,2006年にふるさと銀河線が廃線になるまで鉄道が主な公共交通でした.現在では沿線を代替バスが運行されています.こうした状況から廃止後7年経って地域住民の方々の生活の変化や,今後の生活に対する思いが調査できると考え陸別町の調査を行う事にしました.
今回は9月と11月の2回に分けて調査を行いました.9月の調査では陸別町商工会と陸別町役場に聞き取り調査を行い,陸別町の現状や課題,今後の展望などについてお聞きしました.この調査を基に地域住民の方に対するアンケートを作成し,11月にアンケートの配布準備を兼ねて再度陸別町役場に聞き取り調査を行いました.2回の聞き取り調査とアンケート結果から鉄道廃止の影響はあまり大きくなかったことや,自家用車の利用が多く,そもそも公共交通の利用頻度が低いという状況が分かりました.今後は調査結果からより良い卒業論文を作成していきたいと思います.
最後になりましたが,本調査をするにあたり学生にとっては高価な交通費と宿泊費を補助していただけるフィールドワーク補助事業を利用させていただけた事に感謝いたします.
小樽市の歴史的建造物の現状
泉澤 陸
1. 調査目的
私は卒業研究で小樽市における歴史的環境活用の現状について取り上げようと考えている.今回の調査で小樽にいまなお残る歴史的建造物を調査し,残存形態を分析してみたいと考えた.この数十年間に小樽市の町並みがどのように変化し,またこの歴史的建造物が観光へどのような影響を与えているかを明らかにすることを目的とする
2. 調査を終えて
小樽市は北海道において有数の観光都市といえる.明治から大正にかけて多くの銀行や倉庫が建てられ,いまなおその姿を見ることができる.そして,それら歴史的景観を活用したまちづくりが進められている.平成11年には1000万人もの観光客訪れ,道内だけだはなく道外や国外からの観光客も多く訪れた.
観光客の多い地区は歴史的建造物の連続性が見られ,またその建造物を活用することによって比較的保全がなされている.一方,観光客の少ない地区は,歴史的建造物は残存するが,主にそれ単体のみで「点」としての保全されているものが多い.現在でも石造倉庫が取り壊され,空き地や駐車場に変貌している現状である.このように,地区ごとに保全の差が調査を通して理解することができた.
小樽市の観光入込客数は平成11年をピークに減少傾向にあり,加えて,人口減少,高齢化といった問題もある.市は「観光都市宣言」をかかげているが,今後の小樽市が取り組むべき課題とは何か.今回の調査を基に,小樽における景観まちづくりの方向性を卒業研究で明らかにしていきたい.